勝負師警部補の巻

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第一発見者は被害者の友人、直言三郎と言う男だった。 気品刑事が、玄関で事情聴取をしていた。 「彼ントコに遊びに来たら、出てこんのですよ。ドアに鍵が掛かってなくて、開けて中を覗くと、アイツが倒れてて、近付いて見ると、死んでたので、ビックリして、警察へ通報した訳です」 直言は、発見時の状況を、そう語った。 死体は、この部屋の住人で、山川広末(二十歳)。 外傷は無かった。 現場の一室では捜査員達が、右往左往している。 「殴られたような痕跡も、首を絞められた跡も、ありませんね」 花信刑事が、死体を眺めながら、隣にいる、C葉県警不潔署捜査一課南条警部補に言った。 「そうだな。綺麗な死体だ。おっ」 南条警部補は、死体の口から、苦扁桃のような臭いが、かすかにするのに気付いた。 「青酸特有の臭いだな」 「そうみたいですね。青酸系による毒死ですか」 「うむ」 「死んでから、余り時間が経ってないみたいですね。硬直も、ぼちぼちですし、死斑も薄いし」 花信刑事の呟きだが、南条は、そんなことは聞いちゃおらず 「まず問題は、自殺か他殺かってことだよね」
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