第二章 平穏の終わり

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 天空に浮かぶ夜空の裏側、と表現すべきだろうか。  その世界は漆黒に包まれ、溢れるばかりの生命の数に等しい輝きに照らされていた。  端的に表すならば。そこは「限りある世界」と言えた。生命である輝きを維持する為のエネルギーが決まっていて、その奪い合いによって行われるのが、この世界における生命活動なのである。  その一角に、強大な力を持つが故に、奪い合いとは無縁な者が存在した。「王」と証される者たちである。  その王を中心に成り立っていた世界は、ある時を境に豹変してしまう。その発端となったのは、世界の枠組みの外からの介入であった。  密閉空間に満ちた空気を奪い合っていた世界である。世界と言う枠組みに亀裂が入ったことで、境界線はた易く決壊してしまったのである。  生命を維持するエネルギーの器を砕かれたことで、輝きたちは世界という枠組みを越えて、失われたエネルギーの代替品を求めた。  死活問題である。荒事になってしまうこともあるだろう。そしてその矛先が、何も知らないものたちの住まう世界に向けられることも。  例えば。今まさに結ばれた男女の下であったとしても…
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