第1話:*:胸のオト

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ねぇ? あなたは覚えてますか? 高校生の頃の、ただ夢中に走っていた私たちを…、 悲しい事ばかりだったけど......、 本当に悲しい事ばかりだったけど…、あなたが大好きでした。 ぅうん、 今でも 大好き。 -5年前-―… 極普通の日常 極普通のコト 極普通の友達 それって本当に、普通? 「凛(リン)~?」 「なに?」 春.桜が舞落ちる中、高校生になった。 夏.みんながもうグループを作っていて、取り残された。 秋.図書室の本を全部読んで、新しい本を注文した。 冬.寒い中、付き合い始めたカップルが街を歩いているのを見た。 そしてまた、繰り返しの春がきた。 クラス替えをして、いつもより騒がしい教室。 みんな、仲の良い友達を見つけて話をしている。 ……でも、私のまわりにたくさんの友達がいるわけでもなくて、自分からあの子の近くに行こうというのもなくて…、ただ、自分の席でこんな考えをしている。 私は無口で、無愛想で、人を寄せ付けないから、周りに人がこない。 でも、 「り~ん~?」 今私の前にいる桜(サクラ)は、私から離れなかった。 .
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