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突然窓が割れ、ローウェンが飛び込んできた。
「ご主人、今回は分が悪い……
敵に天狼が…」
そこまで言うとローウェンは倒れ、気絶してしまった。
「天狼とは…!
まさか別ギルドとかちあったのでは!?」
珍しくバジルさんが慌てている。
俺はローウェンの治療を済ませ、召喚具に戻す。
使い魔の傷は主従契約を結んだ人間が魔力を流す事でのみ癒すことが出来、他人には癒すことは出来ない。
「バジルさん、少し出ます!」
そういってベッドに立て掛けられた刀を取ると破壊された窓から飛び出す。
ギルドから走ること20分。
ローウェンの血をたどりついた先は塵壊の森と言う荒野だった。
名前の由来は定かでは無いが、はっきりと言えることは森ではないと言うことだ。
「ローウェンをやったのはお前か?」
俺と対峙するように立っているのはローウェンと同じサイズの黄金色の毛を持つ狼だ。
「グルル…」
牙を剥き出しにしたその狼は姿勢を低くし威嚇する。
「人語が理解出来ないのか?」
もし、目の前の狼が、ローウェンの言う天狼だったとしたら必ず人語を解するはずなのだが、なんの反応も無い。
「話し合いでどうこうなる問題では無いみたいだな。」
刀を鞘から抜き、構えると天狼は僅かに体を沈み込ませて俺の眼前から消えた。
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