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「俺は善人でもなければ、ボロボロのお前達を見捨てられる程堕ちてもいないつもりだ。
俺は俺がつけた傷を癒したに過ぎない。」
そういうと主従契約を解除し、咎の証は消える。
「しっかり子供守ってやれよ。
まだ小さいのに立派じゃないか。
いい子に育つさ。」
そう言い残してその場を去る。
全身の傷が開いた俺を見てバジルさんが大慌てで包帯やらなにやらいろいろ出して、一応の止血と応急手当をしてくれた。
今はというと何故かついて来てしまった天狼親子に見守られながらベッドで横になっている。
「正直真横に居られると寝られんのだが…」
「何を言っている。
元はと言えば私がむやみに襲い掛かったのが悪いのだ。
少なくとも主の傷が癒えるくらいまではそばで主を守る。」
どうやら言い出したら聞かない性格のようで俺のそばを離れようとしない。
子供の方も親のそばに寄り添うようにして座っている。
「そういえば、名前聞いてなかったな。」
「私達に名前などない。
ただ天狼と呼ばれるだけだ。」
そうは言っても呼び名がないのではどうも話しづらい。
短い間とはいえやはり名前は必要になるだろう。
「勝手に名前つけてもいいか?
一緒に居る以上短い間とはいえ呼び名は必要だと思う。」
「ん?
まあ、ふざけた名前でなければ構わぬぞ。」
とりあえず許可は得ることが出来たがなかなかに良い名が浮かばない。
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