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俺の目の前には今、大勢の大人達が武器を構えて立っている。
「ついに追い詰めたぞ、クソガキが!」
俺には一体何が起きているのかなんて分からない。
「なんで…?
俺は何もしていない!」
抱いた刀にギュッと力を込める。
しかし、ほんの数分前の記憶すら俺には無い。
「おい、本当にこいつがやったのか?
どう考えても有り得ないだろ。」
後ろに居る男が構えを解き武器をしまいゆっくり近づいてくる。
「確かに刀は持ってるがどう見てもまだ6、7歳位のガキだぜ?」
その男は腰を折り目線を合わせる。
俺はその男からは殺気ではなく不思議と安心感のようなものを感じつつ自分の体から震えが消えて行くのを感じる。
「俺は本当に何も知らない!」
その一言を言うと大人達を押し退け、全力で逃げた。
後ろは絶対に振り返らない。
振り返ればまた怖い思いをする。
そんなのは絶対に嫌だ!
「はっ…!!」
そこで俺は目を覚ました。
「クライス様。
お目覚めのようですな。」
執事風の燕尾服を着た男が話し掛けてくる。
辺りを見回してようやく自分の居る場所を理解する。
ここはギルド“常夜の宴“
俺はどうやら夢を見ていたようだ。
それも鮮明な過去の夢を…
「バジルさん、俺どれくらい寝てた…?」
「半日程かと…
しかし、あなたが何故あのような場所で倒れていらっしゃったので?」
話によると俺はある荒野のど真ん中で倒れていたらしい。
それをたまたま同じギルドのメンバーが運んでくれたようだ。
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