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「マスターは少し黙っていただけます?
謝罪ならいくらでもお伺いしますけど、言い訳はいらないですよ?」
笑顔を引き攣らせるエリシアの非情な一撃にマスターはあえなく撃沈したようだ。
「マスターに話があったのですが…
今日は無理そうなのでいずれまた来ます。」
引き返そうとした所で瀕死のマスターに引き止められた。
どうやら大分重傷のようだ。
「げふっ…
魔物の話はエリシアから一通り聞いた…
今回の失敗の違約金は私の方で何とかしよう…」
どうやら鳩尾への一撃は相当な威力のようだ。
しかし胸倉を捕まれたマスターはあんなにも威厳のかけらも無いものだとはな…
「では、自分はこれで…」
そういって後にしたマスターの部屋からはひとしきりマスターの悲鳴と鈍い打撃音が鳴り響いた後静かになった。
「ローウェン…」
部屋に戻り使い魔を呼ぶと腰のベルトに付けられたポケットから小さな獣の爪を目の前に置く。
まばゆい光を放ちそれは姿を現した。
「如何用か、ご主人。」
ローウェンは白銀の体毛を纏った大きめの狼だ。
神狼と呼ばれる種族で、この世に使い魔として存在する神狼はこいつ一体だけだ。
神狼以外にも天狼や幻狼といった別の種族の狼が存在する。
人間の言葉を解する程頭が良く戦闘能力も高いのがこの狼種の神族なのだ。
ちなみに天狼、幻狼も人間の言葉を解する神族に含まれる。
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