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「少しばかり遣いを頼まれてくれるか?」
「我に遣いとは大事ということか?
ご主人が我を遣いに出すなどあの時以来ではないか?」
ローウェンのいうあの時とはかつて今回のように依頼を完遂出来なかった時、その駆逐対象を狩ってもらった時の事だ。
「今回も前回と同じだ。
しかし今回はグルズ5体に加えてエルストリア300匹のおまけ付きだ。
やれるか?」
「その程度造作も無い。」
そういうと空間に歪みが生じ、ローウェンの体が消えていく。
「無事に帰って来てくれよ。」
俺は心から祈った。
前回はボロボロに傷ついた姿で帰って来た。
遣いを完遂する事に命を懸ける傭兵のような性格をしているため一切の妥協を許さず、優秀故に期待以上の働きをする。
「この体では足手まといだな。」
傷の程度は非常に酷く、腕や足等数ヵ所が削り取られたような痕になっていた。
何者かが食いちぎろうとした事は削り取られた部分が歯型になっていることからも明らかだろう。
「それにしても酷い傷だな。」
包帯を一部だけ取り傷を眺める。
治癒魔法で失われた肉を再生させるまでは可能だったようだがその部分をなかったことにするまでには至らなかったようだ。
「治癒魔法も万能では無いのですよ。」
バジルさんがお盆に料理を乗せて運んできた。
豪勢な和食がお盆に乗せられて運ばれて来た。
バジルさんの出身はこの国なのだが、幼少期から成人するまで東の端の国ガウン王国に住んでいた。
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