escape

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その少年は、いつも眠っていた。 他の子供達が外で遊んでいても、大人達が美味しいお菓子を用意しても、いつもひとりで眠っていた。 「何でいつも寝ているの?」 気になった少年の友達が、珍しく起きていた彼に尋ねてみた。 少年は退屈そうな表情を浮かべて、 「別に。現実より、夢の中のほうが楽しいから」 友達のほうを見もせずに答えた。 「夢の中では好きなことが出来るからね。やりたい放題さ」 「ふーん」 うなずく友達。 「で、君は夢の中で何をしてるの?」 「現実じゃ出来ないことだよ。そうだな、例えば…」 「例えば?」 少年は、おうむ返しに尋ねる友達のほうに目を向け、 「人を殺したり――とかね」 さも可笑しそうな笑みを浮かべて答えた。 友達の顔がサッと青ざめる。 「じゃあ、僕はもう寝るよ」 そういうと少年は、笑みを顔に貼付けたままで寝息を立て始めた。 →
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