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「いくら夢は夢でも、夢でしかねえんだよ。俺と貴史と菊地で、高嶋は強くなんねえんだよ!!」
これでいいんだ。
由紀が甲子園を諦めればいい。
夢は夢にしかすぎない。
今更甲子園は目指せない。
だけど由紀の言葉は違った。
「だったら、なんで夢で終わらせるのよ!高校野球は人生で一度しかないのに、夢って言葉で終わらせるたっくん大嫌いっ!!」
バチンッッ!!
由紀にビンタされた。
泣いていた。
俺が泣かせたんだ。
由紀は走り去っていき、亜樹も由紀の後を追った。
俺は何をしてるんだよ。
夢って言葉で終わらせるたっくん嫌いか。
苦笑いした。
初めてビンタされた感触は顔よらも、すごく心が痛かった。
「由紀ちゃん敵に回したか!竜也!」
いきなり背後から貴史が出てきた。
「おっ!ビックリしたじゃねえか!」
「由紀ちゃんの気持ち、考えてやれよ。じゃあな相棒。」
そう言って貴史は帰宅していった。
由紀の気持ち。
俺には難しい。
でも1番離れない言葉は、嫌いだった。
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