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朝目覚めて…
私は度肝をぬかれた
ソファーには毛布に包まれた市松さんが…
熱はすっかり下がっていた
夢じゃなかったの?
私はメガネをかけて、もう一度この状況を確かめた
そのうち市松さんがむっくり起き上がってきた
『大丈夫か?夜中また熱でたんだぜ』
『大丈夫です!それより風邪移ってませんか!』
『移ってないよ。元気なら朝飯作って』
私は慌てて顔を洗って、朝ごはんの支度をした
冷凍してたアジの開きと玉子を焼いてみそ汁を作った
『あの…まだ味がわからなくて薄い味かもしれませんが』
『うん、ちょうどいい。美味しいよ。やっぱり人に作ってもらうって楽だな』と市松さんは笑った
『そうですよね…作ってもらうほうが楽です』
『藍原ちゃん、俺いろいろ反省してるんだ…太郎や藍原ちゃん、別れた女、諸々…この前友達と飲みに行って、いろいろ言われた。なんでお前はひねくれてんだろうなって。素直に道進めよとかさ』
『はあ…で、素直になれそうなんですか?』
『37年間培ったこの性格、簡単には直せないさ』
『ですよね…わかります』
この時、一瞬だけど…猫を連れてでていった彼女の話しが頭に浮かんだ
もしかしたら市松さんは彼女がまだ忘れられないのかもしれない
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