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カキンッカッキンッ
高い音。
拙者に対峙するのは我が父上である。
「ムサシよっ!!どうしても都に向うと言うのならばこのワシを越えて行け!!」
「如何に父上であろうと、拙者の野望の邪魔をするならば亡き者にしてくれる!!」
拙者は木刀を構えつつ怒声を上げた。
「いざ勝負っ!!」
二方の刃が重なり合う。
「なかなかの腕前だなムサシ…」
「父上こそ老いぼれにしては多少たりとも衰えず…我の父上ながら見事!!」
刃と刃が重なり力の押し合いになる。
一進一退でござろうか…。拙者と父上は五分五分である。
「貴様に父上の威厳を見せてくれるわっ!!」
父上は拙者の刃を弾き返し見たことのない型をとる。
「これぞ!!我が家系の直系のみに伝わる奥義!!」
奥義…?なんの型でござるか…?
「『龍撃双』」
「……っ!?」
父上は木刀を構えるが。
「二本…だと!?」
木刀は振れだして残像を残し、やがて二本の木刀とかす。
「『龍撃双』はなぁ、我が御先祖様が、『龍』を仕留めた時に編み出した奥義だ」
龍…か。
「ふはははっ!!」
拙者は思わず笑み声を漏らしてしまった。
「ムサシよ!!何がオカシイ!?」
拙者は木刀を構える。
「父上…。コレが『龍撃双』でござろうか?」
拙者の刃は振るえだし、そして二本の刃とかした。
「なっ…!?」
父上は驚きの声を漏らした。
「『龍撃双』…奥義獲得なり」
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