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それから数週間後のマーブルの街。
閑散として暗さが一層濃くなるスラム街。どこのパーツだったのか原型を留めていない木片が散ばっていて、上に一本の紐で干されている服は薄汚れて所々千切れている。土で簡単に固められたそんな細道をタオルを巻いた男―――レオンは大きな袋を担ぎながら歩いていく。
迷彩柄のタオルは髪の毛どころか耳さえ見えないように縛ってある。
目の鋭さは悪いと言えば正解で、顔立ちは残念ながら悪人面だ。ティーシャツからはみ出た筋肉質の身体が立派にそれを引き立たせていた。
更に残念な事にただ今彼は猛烈に怒りを感じていてその悪人面に拍車がかかっている。
「全部あの野郎の所為だ…―――」
レオンは呟く。悪人面で。
その苛立ちの発生源である男の顔を頭の中に思い浮かべて。
袋にしまっておいたその男が写る新聞紙を引っ張り出す。そのバッチリカメラ目線のイケメン面に野菜の汁が少しでも付いていれば気が晴れただろうが、憎き男には残念ながら付いていなかった。
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