序章1 ミラ・ライオーラの場合(セクシー派)

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 天高くそびえる摩天楼の群れ。  過剰供給気味の電力は世界有数の高層建築を飾り立て、人々は網の目のように張り巡らされた街道を行く。  おそらくは世界のどこを探しても、ここでしかお目にかかることは出来ない景色だった。  これ程の人、これ程の物がひしめく混沌の中であるにも関わらず、確固として都市としての体裁を保っているのだから。    世界を支配する高慢を行う巨大な国家。その経済の中心地としての貫禄は、確かにこの都市は備えているのだろう。  人はこの都市が持つ魅力――――魔力と言い換えても良い存在に、魅入られないようにするにはかなりの労力が必要だ。  しかし彼女はそれに抗うつもりは無かった。
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