その怪盗、快調につき。

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「お嬢様、スコーンにバターはいかがですか?」 さっそくタナカがスコーンを用意してくれた。 「わぁ、美味しそうな香り…。そうね、バターはたっぷりでお願い!後、木苺とラズベリーのジャムを塗って欲しいの。」 マニシェは舌舐めずりをしながら、タナカの質問に答える。 タナカが「かしこまりました。」と穏やかに微笑む。 「お嬢様、紅茶はどうなさいますか?」 タナカがジャムを取り出しながら、ティーバッグを列べる。 「本日はダージリン、アップル、ピーチ、アプリコット、オレンジ、レモンの6種類でございます。私めのオススメは、このアップルでございます。遥か東の国、日本国原産の『ふじりんご』で作ったとか。一味違った味わいでございますよ。」 どれもタナカが行きつけの紅茶専門店で厳選してくれた紅茶なので、外れなど有る訳が無い。オススメとあらば尚更だ。 「じゃあ、アップルを淹れてちょうだい。」 「かしこまりました。」 りんごのいい香りがする。間違いない、ビンゴだ。 「さぁ、お嬢様。どうぞ、お召し上がりくださいまし。」 「美味しそ~♪頂きます!」 あまりの美味しさに、涙が零れた。
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