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「素直でいいねぇぇ」
前に一歩、歩み出す。
レンの持つ剣には、魔力すらも込められていなかった。
麒麟は、素直に自分の足を前に出し、血を採れと訴えている様子だ。
その足の皮一枚を小刀で少し切り、血を取り出す。
その作業は数分も掛からず終わる。
(それだけでいいのか?人間)
レンの手には、小瓶があり、その中に血が入っている。
「まぁな……じゃありがとうな麒麟」
それだけを言いレンは消える。
麒麟は、眺めていた。
(あんな人間がいるとはな一体も魔物を殺さず血だけを持ち帰る人間がいるとはなぁ……)
それから直ぐに麒麟は自分が元の居た場所に帰る。
ほんのすこし笑みをこぼし。
レンの周辺にうろついていた魔物達も自分の居場所に戻る。
全てがしーんと、する。
最初から何もなかったように……
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