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だが何も起きない。
マスターと、呼ばれる男は煙の先を見ている。
何がある?
何が起きたのだ。
『ワ……ワタシ……コ……キコエマ……カ』
女性の声がする。
誰かがこの遺跡に気づき、このカプセルを見つけた時に自動で発動するようにされてるかのように、声が流れる。
『コ……ノコ……ヲ……オネガイ……ス……』
最後に何かを残すように言葉(音声)がかすれながら消えていく。
『バタッ……』
二人の前に何かが倒れたような音がした。
その正体を確かめるように目を配らせる。
「この子は……」
人間が倒れている。それはカプセルの中にいた子だろう。
「冷たいぃ……」
触ってみれば人間の感触と違う、そう死んでからこのカプセルにいれられたように……
触り続けると温かくなっていく。
「まさか……生きてる!?」
「あぁ……そのようだ。こんな訳もわかないことは、はじめてだ」
「うぅ……」
目の前の少年が、目を開け始める。
「君生きてるのか?」
「僕は……」
「君は誰なのか解るかい?」
「僕は………レン」
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