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現在の時刻7月10日11時56分。
場所は教室、英語の時間にて、爆発物をセットする。
それが今日俺たちにかせられた任務。
教室には、俺を含む五人の仲間が潜伏中。
それをのぞいた計二十九人(一人教師を含む)をどう気をそらせるか、それが最も重要だ。
「亜呆副隊長応答してください」
俺たち六人は、小型トランシーバーで連絡を取り合っている。
俺は少し汗ばんでいるカッターシャツで口元を押さえながら、周りに聞こえないように応答する。
「なんだ、西条」
「大好き」
「黙れ」
俺はなんのためらいもなく通信をブチぎった。
斜め前のはるか遠く西条が故障かな?といいたげにトランシーバーをいじっている。
俺はそんな西条を視界に入れないように窓際の一番後ろの席から、指示をとばして、状況を見守る。
「状況はどうなの?」
「作戦に滞りはありません。天上院総隊長」
「失敗は許されないわよ」
「ラジャー、……隣なんだから普通にしゃべれよ」
「いいじゃないトランシーバーの方が雰囲気でるし」
俺の隣に不機嫌そうな顔ぶっこいて座っているのは、天上院巫女だ。見た目はいいんだが、いろいろぶっ飛んでて恐れ多くも恋愛対象にはならない。この団体のトップなんだが……正直もっと自覚を持ってほしい。
それに、ってそこ足組むな。男子校生にはちょっと刺激が強すぎる。
「お前何やってる!」
黒板の三分の二をわけがわからない暗号で埋め終わった折野先生が格好の獲物を見つけた肉食動物のような目で狙いを定めながら叫んだ。俺たち二人は見つかったタニシのように……ってすまん!例えが微妙すぎた!同時に体をこうちゃくさせる。ばれたか?
折野先生がどんどん近付いてくる。嫌な汗が背中をつたう。今更耳に手を伸ばしても怪しまれるだけだ。あと数メートル。万事休す。
「お前だ!山口!何をしている」
ーーっ
俺達じゃなかったーー
山口を見ると、太った体をにまとわりついた汗を気にもかけず教科書を不自然に立て、(全く隠れてないが)一所懸命にパソコンの画面と向き合っている。
「教室でエロゲーをしてなにが悪いんですか?」
いやいや悪いだろ。
「当然ながら、全部没収な」
まぁそうだろうな。
折野先生はなにくわぬ顔で、本体ごとかっからった。
「一人戦意喪失したぜ総隊長」
山口は天井を遠い目で見ている。あれだな中毒だな。
「あのメタボはほっといて作戦続行」
「同感です」
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