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勿論デメリットはある。
その柔軟性はイコール装甲の薄さに繋がった。
戦車よりも柔い、と揶揄されたBMS。
だが「夜神」博士は事も無げに解決法を言った。
「装甲が薄けりゃ追加すればいいじゃない」
つまりは鎧や盾の様な追加装甲を用いる事でデメリットをカバーしようと言うのである。
各国の軍部に従属する博士達は追加装甲、果てはバリア装備の研究に勤しむ事になった。
かくして戦車以下、と言われたBMSは再利用の利く軍の主力兵器にまで成り上がったのである。
やがて各国はBMを用いて戦艦も作る様になっていった。
今まで各国、と言っていたが、この時地球上には三つの国が存在していた。
我々の知るアジア圏に位置する大陸に住む人々の国家、エスタニア。
ヨーロッパ・アフリカ圏に位置する大陸に住む人々の国家、シャロム。
そしてアメリカ・ラテン圏に位置する大陸に住む人々の国家、メルキア。
その中のシャロムに現われた指導者が独裁者となり、他の国に宣戦布告をしたのである。
後にシャロム戦役と呼ばれた世界大戦の始まりである。
独裁者ハインツ・ガイエスはBMSの大軍による攻撃と巨大戦艦による空爆を用いて次々と他国に侵略の手を伸ばしていった。
本来ならいずれ訪れるかもしれない異星人の再侵略の為に用いられるべき兵器が世界征服の為に用いられるなんて。
事態を憂慮した「深谷」「夜神」の両博士はある意味自ら播いた種を刈り取る為に、敢えて軍部に教えなかった技術により作られたBMSを超える機体を以て残り二国の軍と共にシャロム軍に立ち向かった。
それは地中に眠る宝石の様な球状の物体をBMSに組み込む事によって、機体自体のスペックが上がるばかりか、その物体に眠る古代の英雄や偉人の意思とリンクする事で凄まじい特殊能力を発揮するという、まるで漫画みたいな人型兵器。
その物体はレジェンド・コア(LC)と呼ばれ、そのコアが組み込まれた特機はレジェンド・ガーディアン(LG)と呼ばれた。
両博士が操るLGは戦局を変え、生産が追い付いた二国の混合軍は次第にシャロム軍を撃退するまでに至った。
そして終戦間近の十一月某日。
日曜日だったこの日に終止符を打つ事件が起こる。
「鮮血と虐殺の日曜日」事件。
それは次回の話にて。
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