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「何がおかしいのさ、黒ちゃん?」
「メルキアの軍勢が近辺に全く存在しないのです。まるで我々だけに攻めさせようとしているかの様に…」
「ふん…」
腕を組みながらシートに腰を下ろす紅子。
「きな臭いねえ…」
電子タバコ(艦内禁煙措置を採られている為仕方なく)を咥えながら、モニターを眺める紅子。
「警戒レベルを第一級に上げるよ!タイガー小隊、パール小隊は艦外で敵の攻撃に備えとくれ!」
『任せときなぁ!紅子ぉ!』
『オッケ~!サクッといってみよう!』
熱血漢の長身の男性パイロットと軽い感じの眼鏡の女性パイロットが紅子の命令に応じる。
男性の方は鶴巻寅泰。
紅子の夫でBMSミステカ「ワイルドラッシュ」を操るパイロットである。
普段は温厚なオトメンなのだが、機体に乗ると性格が一変する。
ワイルドラッシュはショルダーカノンと大型クローアームが主武装のBMSである。
そして眼鏡の女性は小鳥遊珠姫。
薄茶色のショートボブに丸い眼鏡がチャームポイントのトランジスタグラマーな女性である。
紅子とは士官学校時代からの付き合いで、本来なら艦隊を任される位の力量を持っていながら、大好きな紅子の下で戦いたいが為に昇進を断り続け、小隊長の身分に止まり続けていた。
だが別に同性愛者という訳ではない。
過去に何人かの男性と付き合った事があるが、どうも上手くいかなくて、今は趣味の世界に没頭している。
彼女が操るBMSはサンフラワー。
両肩にベアリング弾が詰まったコンテナを装備し、ツインアームビームカノンを主武装にしたBMSである。
『紅子ぉ!ちゃっちゃと終わらせてくっから…』
「家まで待たないさ。艦長室でシャワー浴びてお前が来るのを待ってるよ」
二人のやり取りに艦内の兵士が口笛を吹いて囃立てる。
『いいなあ…。ねえ、黒木くぅん…』
「な…なんですか?」
顔を赤らめる黒木。
『戻ったらお寿司食べたい!』
「………は、はぁ…いい…っすよ」
『あはは~、黒木くんのエッチ~!紅さん達にあてられて変な想像したでしょ~』
「し、してません!」
艦内が爆笑の渦に巻き込まれる。
このノリも第九艦隊の特徴だった。
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