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青年はそのまま横をすれちがい通りすぎていった。
母親はすぐに振り返り
「下向いてちゃあぶないわよ」と青年に向けて言ったのだが
青年はなにも言わず
下を向き歩き去っていった
「泣かなかったね。リクも男の子になったんだね~」
「泣いてたよ」
「え?」
「あのお兄ちゃん泣いてたよ」
ヒューッ
桜散る並木道に
ふと冷たい風が吹く
「さむーい。けど桜の花びらきれいだね!」
「綺麗だね。リクそろそろ帰ろっか。風寒かったでしょ?」
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