オコジョ

2/2
前へ
/52ページ
次へ
純白の鎧を纏えば 誰も傷付くことはない。 「あの子を見たら呪われる」 私を見かけた人は、傷を負う。 私と話した人は、病にかかる。 私と目を合わせた人は、死。 少女は部屋から出なくなった。 外に出れば、人の目につく。 誰かが、不幸な目にあう。 「死神!」 違う 「お母さんどうしよう。 僕、死神を見つけちゃった。」 違う 「怖い目がこっちを見た」 私は、死神じゃない 「家から出てはいけませんよ。 死神に会ってしまいます」 呪われたのは、 私に会った人じゃない。 私だった。 外との関わりを断ち、 人の目につかなければ 呪いが感染することはない。 でも、やがては私の家から 食料がなくなる。 食べないと生きていけない。 普通の人間だから。 どうすれば、人を 傷付けずに済むだろう。 呪わずに済むだろう。 物置の深くから、 いいものを見つけた。 白い鎧を纏おう。 仮面の奥から見える 呪われた目からは 悲哀の感情が浮かぶ。 .
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加