しちょー

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『見た?』 『見た。』 『正気なのか、あいつ。 毎晩毎晩、吹雪の中 外にでるなんて。』 『噂に寄れば、化け物でも 召喚してるって話だぜ。』 『おっかないねえ。その内 みんな喰われちまうんじゃねえか?』 「何処…何処にいるの…」 黒いローブを翻して 吹雪の中を駆けていく少女。 時折、立ち止まって キョロキョロと辺りを見る。 「…何処」 立ち止まる度に肩や頭に 雪が積もり、走り始めると 雪は落ちた。 一体なにを探しているのか、 誰が聞いても少女は 答えることはなかった。 問い詰めてやっと少女が 口を開くと、一言。 『―――――。』 人々は理解することが 出来なかった。 それはどういう意味なのか。 最初は興味からか少女に 絡んできていた人々も、 憑かれたように吹雪の中を 駆けていく少女に呆れ、 放っておくようになった。 そんなこと、少女には 関係なかった。 凍りつくような寒さの中 灰色の世界へと駆けていく。 少女のみが知る、 探し物を見つけに。 .
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