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Kota.side
なあ、高木。俺には教えてくれないか?何をそんなに悩んでるんだ。俺にも言えないこと?そんなに溜め込んでるの?なあ、どうなんだよ、教えてくれよ。
「薮くん」
優しく、儚い笑顔を浮かべながら俺の隣に腰かける高木。・・見えてるよ、左手にある包帯が。気づいてるよ、俺は。
「高木、寂しかったら俺を頼れ」
「・・うん」
わかっちゃったか、何て泣きそうな顔をしながら俺の肩に頭を乗せる高木。わかってるよ、悲しいこと。寂しさにもちゃんと気づいてるから。・・俺に隠し事出来るなんて思うなよ。
「俺は離れないよ。高木のココロの隙間、埋めてやるから」
「・・うん」
「泣きたくなったら、寂しくなったら、俺に電話してこい。」
左側に座る君の右手をそっと持って、少し赤くなっている包帯に口付けを。
唖然としている高木ににこりと微笑みかけてやれば、安心したようにへにゃりと笑ってくれる。・・大好きだよ、高木のこと。俺から離れることはないんだから。離してって言われても離してやらない。なんて言ったら、バーカって笑われるんだろうか。
「高木、いつでも俺のとこに来い」
「あはは、ありがとう」
高木の笑顔に俺は救われてるんだ。だから今度は、俺が高木を救う番なんじゃないかな。
傷痕に口付けを。
優しくそっと、ね。
end
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