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「ではそれはあの机に置くが良い。いつも君のお父さんは、そこで外を眺めていたものじゃ」
ラダさんが示した場所は、リビングの端にある窓の下にある小さな机。
大きさは小さいが、高さはそこそこある為、しゃがまなくても写真は見やすい。
写真を置くと、窓から差す光が当たり、まるで父さんの後ろ姿が見える様だった。
ここでいつも外を見ていた父さん。
気持ちは分かる。ここから見える景色はとても綺麗だ。
ラダさんの家は少し高台にある為、向こう側の山だって見える。
もしかしたら父さんはいつもここで、気持ちを落ち着かせていたのかもしれない。
「シン、この剣見せてくれないか?」
しばらく外を見ていると、ラリノがソファーに立て掛けてある、鞘に入ったクルーデルを指差していた。
そういえば見せろよなって言ってたな……。
承知の合図として頷くと、ラリノはクルーデルをゆっくりと鞘から抜く。
やはり一度も使っていない訳で、電気の光で輝いている様に見える。
「……いい剣だな。大きさと比べてそんな重さはないみたいだしな」
回転させながら見てるラリノ。
しばらく見ていると、ラリノは名案だと頷いて俺の方を向いた。
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