決意という名の恐怖

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『あれから、ジャンは何も答えてくれねぇんだよ』 『え……?』 『俺等は2人で1つの体だが、主として動いてるのはジャンだ。今まで1日以上、俺で動く事は無かったけど、今日で2日目。 話し掛けても何にもねぇし、ジャンっていう魂が、俺からいなくなった……そんな感じ』 ジャンが出てこない……? 『きっと、トラウマに会って、精神的に傷付いたのね……。あれから、ずっとよ。ジャンを見てないわ』 呆気に取られている俺に、リリが説明する。 兄に会ったのがトラウマを呼び起こしたんだな……。 『……シン』 あのいつものジャンの笑顔を思い出していると、イエローの声がした。 振り返ると、無表情のイエローが俺を見ていた。 そこで気付いたが、その後ろにラダさんとリュウが俺達の様子を見ていた事だった。 『とりあえず、目ぇ覚めたみたいやな、よかったわ。……シン、覚えとるか?』 その問いに、俺はゆっくりと頷いた。 『……わいの言う事を破ったから、怒鳴りたいとこなんやけどな。やけど、シンの顔見たら安心感しか混み上がってこーへんわ』
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