準備と。

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そして似ている、……らしいその横顔は、父親にしてはとても若い。 きっとそれは、魔界にいると起こる犠牲という名の"副作用"のせいであろう。 2年経たないと、年をとらないという副作用。 俺が凄く小さい頃に父さんは魔界に行ったならば、年は全然かわっていないはず。 それに俺が生まれた後に、という訳ではない。生まれる前にも行っていたかもしれない。 「君のお父さんはとても勇敢であった。……何だったらその写真、シン君が持っていても構わないぞ」 「え、」 「写真1枚でも、中々変わるものじゃぞ。……身体的にも、精神的にもな」 やっとしっかりと見えた父さんの顔。 クリスタルといい、リリと出会ったといい、全ては父さんからだった。 父さんがいなかったら、きっと今の俺もいなかったのだろう。 魔界の事だなんて全く知らずに、学校で普通に暮らしていただろう。 こんな仲間と、良い人達と出会わずに、俺の人生は過ぎていただろう。 そう考えると、父さんには本当にお礼を言いたい。 良い奴等と出会わせてくれて、ありがとうと。
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