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そう思ったら、写真だって持っていたいと思う。
……だけど。
「……いえ、遠慮しておきます。ラダさん、申し訳ないんですが、この写真を何処かに飾ってはくれませんか?」
「飾る……とな?」
「はい、持っててもいいとは思いますが、帰る場所にあった方が、頑張れる気がするんです」
ラダさんの家は、本当の帰る場所だ。何事も終わったら、まずこの家に帰る。
帰る場所があるから頑張れる。
そんな場所に父さんの写真があったら、それ以上に俺は頑張れる気がする。
「……そうじゃな、シン君がそうしたいのならば、そうしよう」
「あ、だったら……ほら」
ラダさんは快く頷いてくれたところで、ラリノが思い付いた様に懐から何かを取り出した。
何かと思って見てみれば、ラリノの手には写真立てが握られていた。
「さっき……つか、テーブルクロスを取りに行った時に見つけたんだよ。ちょうどいいだろ?」
ラリノからそれを受け取り、写真と合わせてみると、少しは余るものの、写真立てのが大きい為何の問題もない。
俺は写真を中に入れた。
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