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「そうだな……少し焦ってた。大丈夫、一度剣を使えばきっと大丈夫さ」
ラリノが持っている剣を見て、俺は自分を落ち着かせるように頷いた。
「よし、じゃあ決まりだな。場所は……そうだな、少し歩くが裏の川を渡ったとこに広い場所がある。そこに行こう。……いいよな、ラダ?」
「うむ、しっかり戦って来るんじゃぞ」
了解の声にラリノは満足そうに頷いて、剣を俺に渡してきた。
「行くぞ、シン」
そう言って出ていくラリノに、俺と皆は慌てて着いていこうとした。
「シン様!」
皆が出て行ったところで、俺を呼ぶリュウの声が聞こえ、立ち止まった。
振り向けば少し息を切らしているリュウが、手に何かを持っているのが見えた。
「シン様、鞘だけでは手に持つしか出来ないでしょう。これを……」
と、出された物を手にとれば、革で出来た平たい紐の様な物だった。
ただ1つ輪っかがあり、それは微かに固い。
「リュウ、これは……」
「その輪が背中になるように、肩に通してみてください」
「肩に……?」
何が何だか分からないが、俺は言われた通りに輪が後ろになるように紐を肩に通した。
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