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「これは……」
輪が背中にきて、窓で背中を見てみると何処かで見た事のある形だった。
何処で見たかと、思い出してみると、ふと頭に過ぎった。
「……あ」
そういえば、と先程置いた写真を見た。
父さんの後ろ姿……の所に、俺が背負っている物と似てるものがかけてあった。
「その輪に鞘を引っ掛ければ落ちる事はありません。ずっと手に持つ事は大変でしょう。
あまり邪魔にもなりませんし、便利だと思います。そのクルーデルを背中に背負ってください」
世界を背負うように、と言うリュウの口元は微笑んでるが、目はとても真剣だった。
「リュウ……」
「どうぞ、鞘を納めてみてください」
目を細めて笑うリュウにハッとしてああ、と呟いて鞘を背中に回し納めてみた。
「……すげ、凄い楽だ」
手を離しても落ちないし、この紐が重さを少し楽にしてくれてるのか、手で持った時よりも軽く感じる。
これなら走っても全く苦にはならないだろう。
「シン様、いかがでしょうか」
「ああ、凄く良い。ありがとな、リュウ」
お礼を言うとリュウは「いいえ」と言って笑った。
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