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「シンさん~? どうしましたー?」
中々来ない俺を呼びに来たんだろう、ミリアの声が扉の向こう側から聞こえた。
「ああ! 今行く! ……じゃあリュウ、本当にありがとな」
もう一度お礼を言って、ドアノブを掴んだその時「……シン様」と再び呼ばれた。
振り返るといつもは優しいリュウの瞳が、少しキツくなっているのが見えた。
「シン様、貴方様の光はとても強いです。とても強くて……奥が見えない。それは良い事でもあり、ふいには悪い事でもあるのです。
……ですから、ブレーキを覚えてください、シン様」
「ブレーキ……?」
「その力が急に爆発しない様に、自分でストップするのです。そうしなければ、シン様のお体がもたなくなりますので」
すみません引き止めてしまって、これだけですので、とまた優しい瞳に戻ってお辞儀をするリュウは、いつものリュウだった。
リュウが何故そんな事を急に言ったのか分からない。
だけど言ってる事は正しいと思ったから、俺は「……ああ」とだけ頷いて、皆が待つべき外へ行った。
その後ろで小さく、
「いってらっしゃいませ」
というリュウの声が聞こえた。
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