217人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇
ラダさんの家から出てきた俺の背中にある物を見て、何それ何それと言うリンの質問に、リュウに貰ったと説明しつつ向かった場所には、
「着いたぜ、ここなら大丈夫だろ」
ラリノの言う通り、ラダさんの家の裏にある川の向こう側には少し広い場所があった。
周りは木ばっかりで、人通りも無い。
戦うには持って来いの場所だった。
「良い場所だな」
「だろ? 俺もよく小さい頃に遊びに来てたぜ」
思い出す様にしみじみと呟くラリノは、何故かおじさんみたいで笑ってしまった。
「よし、じゃあ早速やるか」
「ああ」
ラリノが声かけると、皆は俺達から離れて、日陰に向かって行った。
ただキョウだけは腕を組んで、また皆の隣の木陰で立ってこっちを見ていた。
俺はラリノと離れて、「いいぜ」と頷く。
それにまた頷いたラリノは、胸の前で手を合わした。
ぱんっ、と高い音を響かせ合わされた手からは、次にはバチリと雷特有の音がした。
ゆっくりと手を離すと、その間からはギラリと光る大きな刃が見える。
ラリノの武器、"雷鎌(らいがま)"だ。
最初のコメントを投稿しよう!