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「……ッ、……おいシン!」
肩を叩かれ、俺は体をびくつかせて、後ろを向く。
そこには、端かも心配そうな表情を浮かべている俺の師匠、ラリノが立っていた。
「あ……ラリノか。どうしたんだ?」
「どうしたも何も……。お前が大丈夫なのかよ、俺何回も呼んだぜ?」
「あは……悪い。考え事してた」
「……。……そだ、昼食出来たから呼んだんだ。下に降りて来いよ。リンとケンタがまた喧嘩してうるせーんだ」
苦笑いをして、ラリノは俺に背を向けた。
その時に揺れた、ラリノの首にかかっているトパーズを見て、俺は少し俯く。
俯いて見た場所に、"それ"は無い。
「シン、何してんだ。行くぞ」
「あ、ああっ」
ラリノに急かされた俺は、窓の側から離れて、扉から出ていくラリノに着いていく。
2階を降りて着いたリビングには、
「ケンタ! 何で私のクッキー食べたのー! 私凄い楽しみにしてたのにっ!」
「あんなトコに置いとくテメェがいけねぇんだろ! それにまだ余ってただろうが!」
「余ってた……って1個じゃんかー! ケンタの馬鹿!」
ラリノの言う通り、リンとケンタの声で溢れていた。
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