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それでも俺は、そこから動く事は無い。
少しして、皆が俺の名前を呼んで近寄ってきた。
確か俺の正面に座り、俺の怪我をしていない右肩を掴んで揺らしたのは、イエローだった。
口が何かを言っていたが、俺は何を言っているのかさっぱりで。
ただ、目から涙が溢れ出しているのは分かった。
やがて、今まで起きた事を理解して、大事な物は守れたが、もう1つの大事な物が失った事が頭に流れ込んできて。
俺は震えた右手を、俺の肩を掴んでいる腕に触れて、弱々しく掴んだ。
そして、掠れた声で、
『……イエロー、……クリスタルが……。俺ッ……でも、間違った事、……してねェよな……?』
誰でもいい。誰でもいいから慰めて欲しくて、『大丈夫、シンは悪くない』という言葉が欲しくて。
俺は涙を流しながら、少し笑ってイエローにそう言った。
するとイエローは、酷く傷付いた表情をして、俺の怪我してる左肩と左手に触れない様に、俺を軽く抱き寄せた。
耳元で聞こえるのは、嗚咽を我慢する声と、
『あほ……シン……ッ』
慰めてなんかいない言葉。
周りを見ても、ケンタとキョウ以外が涙を流していて。
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