決意という名の恐怖

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よく見てみると、リン以外が傷付いていて。 その涙も傷も、俺が流させて、俺がつけさせた物なのだろうか……? と考えている内に、俺はその場で気を失ってしまった。 次に目が覚めた時、目に映ったのは天井と、久しぶりに見るリュウの顔。 『シン! 良かった……心配したんだぞ』 敬語ではなく、普通に話すリュウ。 だとしたから、今いるのはリュウだけって事になる。 俺はゆっくりと体を起こそうと、左手に力を入れようとしたが、肩から手にかけて痛みが走った。 うっ、と声に出すと、案の定リュウに叱られた。 『駄目だって、シン! 酷い怪我なんだ、当分は使っちゃ駄目だぞ』 見ると、左手には包帯がたくさん巻いてあって、肩にも、そして腹にも包帯が巻いてあった。 そこで俺は上半身裸なんだって事に気づいた。 腹を見る事で、いつも見る"それ"が無くて、俺にまた現実感が襲ってきて、 『リュウ……ここは……』 小さな声で尋ねると、 『キラルールだよ。シン、2日程寝てたって。……リリ様達が昨日ここに来てさ。ラリノ様がトパーズから変な感じがするって言ってたから、ちょうど心配してた時だったんだ』
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