決意という名の恐怖

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『……シン?!』 扉の前で息をする俺を見て、リビングにいた皆と、ラリノが一斉に俺を見る。 皆は服を着ている為、どんな状態なのか分からない。 だけど全員がここにいるって事は、誰も寝込んでいないって事だ。 それに一先ず安心した俺は、ソファーで腕をくみながら、こっちを見ている青い髪の主を見つけた。 そのジャンの目は、何故か睨んでいる様にも見えて、少し不思議に思ったが、俺はとりあえずジャンに近付く。 『ジャン! 大丈夫か、お前……』 『……は?』 焦る俺に対して、冷静にジャンはそう返して来る。 そこで俺は、『……え?』とジャンの側で立ち止まった。 『……何言ってんだ、オメェ』 『……え、キョ……ウ?』 話し方もその表情も、ジャンじゃない。キョウだ。 だけど、何でまだキョウなんだ……? ジャンは? 『……ジャンはいねぇよ』 『いない……?』 目をぱちくりと瞬きしていると、ジャンはそう言った。 いないってどういう意味だ? ジャンはキョウで、キョウはジャンだろ? いないって、一体何が……。
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