――記憶――

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――記憶――

あの日いつもの様に絵夢と二人で母が作ってくれたおやつのクッキーを食べていた。 母は忙しい合間を縫って食事だけはちゃんと作ってくれた。 絵夢は母の作るおから入りのクッキーがとてもお気に入りでいつも母にねだって作ってもらっ ていた。 「柊ちゃん!今日も絵夢お願いね…ゆき叔母ちゃん後で来るから。」 慌ただしくエプロンを外しながら店に行く準備をして肩をポンと叩く 「うん!大丈夫!まかせて!」 母を安心させるよう指でオッケーの形をして見せた。 「それじゃ!任せた!お兄ちゃん居るからママ達安心だわ」 ニッコリと微笑むと「じゃあね」といつもの様に母は店へと向かった。 母を見届けると絵夢に目を向けた。 絵夢はクッキーを頬張り幸せそうにしている。 「絵夢、ミルクも飲んだら?」 絵夢のコップのミルクが全く減っていない事に気付つくと自分のミルクの入ったコップを絵夢の口に運ぶ。 素直にコクコクと飲み白くなった舌を見せて絵夢は無邪気に笑って見せた 絵夢の笑顔が大好きだった。 天使の笑顔と言っても過言ではない…それは今も変わらない。
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