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一瞬、自分に向けられたものだと思っ
て体を震わせたけど。皆の視線は体育
館後方に向けられていた。
「佐久間、待ちなさい!」
いつもに増して声を荒げている体育教
師の先にいたのは、小さな小さな女の
子。
ポケットに手を突っ込んで、まるで教
師の存在を感じずに出口に向かって歩
くその子は、とても綺麗な髪色をして
いた。
ふ、と振り返ったその子と視線がぶつ
かったのは一瞬。優しく笑ったまま姿
を消した彼女を気怠そうに、でもどこ
か嬉しそうに追いかけていったのは隣
りのクラスの久住だったっけ。
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