第1章 ‐久住 春樹‐

8/10
前へ
/21ページ
次へ
   諭吉とは生まれた時から互いの家が近  くて、幼稚園からずっと一緒だった。  昔は諭吉も活発で、毎日外で遊んで肌  真っ黒にしたっけな。  それがいつからだったか。  中学に入り身長も伸び始めた頃、急に  周りの態度が変わって。今まで散々チ  ビとからかってきた女子でさえ、バレ  ンタインにチョコをくれるようになっ  た。  変わらなかったのは諭吉だけで、だか  ら俺は諭吉の隣りが心地よくて。  けど俺が諭吉と一緒にいればいる程、  諭吉のキズは増えていった。  それでも諭吉が俺を責めることはなく  て。ついに俺が自分自身を責めて「一  緒にいない方がいい」と言った時も、  「あたしが春樹と一緒にいたい」  と今みたいに優しく笑った。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加