カクセイ

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      ※ 「ふぅー……ついたついた!意外と早く着いたよっ。でもまだまだ安心できないけどね」 「はぁ…はぁ…はぁ…。そ、それはよかった……」  膝に手をついて、僕は荒い息を吐いた。僕が走ったわけでもないのに凄く疲れた。なのに隣に立つ彼女は、息の一つも乱れてない。 「……ふう。ここが、久留々木学園か…」  あれから約数分間。彼女に引っ張られて着いた場所は、どうやら僕が探していた学園の校門の前だった。自分の背丈よりも大きい鉄格子の門が大きく開かれている。ざっと目差しで見ても三メートルはありそうだ。そしてその門をとりつけている壁には、『久留々木学園』と表記されていた。  というか、これまたデカイ校門だ。門もそうだが、その繋げる壁が、門を挟んで遠く見えないほどに長く左右に広がっていた。つまりそれは、この学園を囲っている外壁ということになるため、その学園の大きさを表しているのだけれども。どんだけ大きいんだろうかこの学校は。 「もうちょっとかかるかなって思ったけど、君が意外と耐久性があったから本気で走れたんだよー?」 「そ、そうなの……?」 「うん!凄いねー。なんかやってたりするのっ?」  屈みこんで、僕の顔に急に顔を近づけてくる彼女。びくりとしたが、聞いていることは何か運動をしているとかそういうことなのだろうか。 「別に、なにもやったことないけど。ていうか君こそ、なにかやってるの?こんなに早く走れる人初めて会ったよ。僕を引っ張ってあの速さだし…」 「わたし?んにゃーなんもやってないよっ。でも〝瞬歩スキル〟が使えるから基本は出来てるのかもね!」  あははー、と照れたように笑う彼女。 可愛い。いや、でもさっきから気になることがあった。 「あのさ、さっきから言ってるそのしゅんぽすきるって、なんなの?」 「え?あー君って〝足早スキル〟ぐらいしか使ったこと無いのっ?これはね〝足早スキル〟から二段階上級ぐらいのスキルなんだよ!でも、わたしの速さが大丈夫そうだったから、君も使えると思うよー」  アシバヤスキル?……もしかして、足早スキルということなのだろうか。だけどスキルってのはなんだろう。能力って意味だろうか。だけど、それでも意味が分からない。
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