すれ違う気持ち

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「た、拓海こそ どうなんだよ…武内くんに看病して貰って嬉しかったんじゃないのか?」 …しまった… 売り言葉に買い言葉で 余計なことを… 後悔したが、もう遅かった。 「…なんだよ…それ… 伸ちゃん、判ってくれてる と思ってた。俺は 嘘なんてついてない。ほんとに 薬とか 買いに行って貰っただけだよ」 拓海の目が 寂しそうに 僕を見た。 …けど… なんだか 今まで 我慢していたことが、どんどんと 流れ出るように 出てきてしまった。 「拓海はさ… 辛い時には 俺には 逢いたくないんだな…。俺は 頼って欲しかった…。なんで、武内くんじゃなくて 俺を呼ばなかったんだよ」 「そ、それは…伸ちゃんにうつしたら悪いって…」 「武内くんのほうが良かったんじゃないのか?何でも言えるし、甘えられる。怒鳴りつけても、笑っててくれるもんな… 武内くんなら」 「伸ちゃん…」 …言い過ぎてしまった… 「…ごめん… 言い過ぎた…」 僕は 項垂れた。 「いいよ… 伸ちゃんにそんな風に 思わせた 俺が悪いよな…」 拓海も 項垂れた…。
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