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暫くして 屋上に 上がると いつもの僕の場所に 風見が 後ろ向きに立って 空を眺めていた。
サラサラとなびく髪に ちょっと見とれていると、風見は 後ろ向きのままで 「伸ちゃん?」と 声を出した。
「うん…」
「ありがとう。来てくれて…」
なんだか調子が狂う…
「今まで ずーっと 偉そうだったくせに…」
僕が思わず笑うと 風見もこちらを振り向いて笑った。
「伸ちゃんの笑顔 ずっと見ていたいんだ…」
真っ直ぐ見つめられた。
「風見… 」
少しずつ距離が 近づいてきた。
「伸ちゃん… 俺… 本気だよ」
「うん…」
「俺、ガキだけど… きっと伸ちゃんを幸せにする」
「風見… あの… 」
僕は 思い切って 切り出した。
「俺、付き合ってる人がいるんだ」
「え…」
風見の目が 風に揺れるように 少し潤んだ…。
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