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あたし、神前秋瑠[カンザキアキル]は目立つのが嫌いだ。
だから、勉強なんてできない人間、運動も得意なわけではない、ように振る舞っていた。
しかし、中学の大事な時、学園からの逆推薦があった。
あたしは嫌だったが、この推薦は確実に拒否できるものじゃなかったのだ。
「なーんでこんなことになったのかなぁ」
入学式をサボり、校内をぶらぶらしていたら非常階段を見つけた。
なんて都合のいい。
ここなら見つからないだろう。
非常階段を二階まで登りに腰掛けてはぁとため息をつく。
桜が舞うのをぼんやりと見ながら真っ黒で肩までしかない髪の先をいじくる。
長い長い入学式はまだ終わらないようで、やることもないあたし。
仕方ないからメール。
でも友達もみんな高校入学式の最中だろう。
普通の国立学園や高校はみんな同じ日に入学式をやる。
この学園も例外ではない。
それにしても、長い入学式だ。
もう一時間半はやっている。
もうそろそろ終わってもいいだろう。
ちょっと覗いてみるか。
あたしは立ち上がり階段を降りる。
下まで行った時、目の前にはスーツを着崩して着ていた男の人に出会ってしまった。
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