2人が本棚に入れています
本棚に追加
「まっさか、サボりがいるとはねー」
スーツ男は一瞬目を見開いてあたしを見たがすぐににやりと嫌な笑みを浮かべた。
この学園は指定の制服がある。
だからこのスーツ男は保護者か、先生か。
それにしても若い。
二十代前半ぐらい。
それなら保護者と言うよりここの生徒の兄弟か。
「えーと…」
入学式をサボったという後ろめたい気分が言葉を詰まらせる。
これはどうするのがいいのかな。
謝るべき?逃げるべき?
「あはは、君は凄いね。
これでも僕は先生だよ?」
スーツ男はニコニコとこわぁい笑みを浮かべ続けている。
あ、ヤバい。
あたしの本能が逃げろとサイレンを鳴らしていた。
緊急事態なんだ。
あたしはスーツ姿の怖い先生から逃げる為、先生を避けて走り出した。
が、腕を捕まれた。
「逃げるなよー。君、名前は?」
捕まれた腕が痛い。
なんでこんなに力を…脅しか。
確実にこれはマズいパターン。
トイレ掃除とか、朝掃除の罰を初日にもらいたくなんかない。
に、逃げなくては…。
よし、仮名を使おう。
「肝付雪です。すいません...腕、痛いんですけど」
とっさに友達の名前を使ってしまったが、大丈夫だろう。
最初のコメントを投稿しよう!