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夫はソファーに腰掛けるとそう言ってうなだれた。
嘘ばっかり、さっきまで女の所にいたくせに!
「おいおい、何怖い顔してんだよ。俺、お前に何かしたか?」
気が付くと私は夫を睨んでいた。
「あ、……泣き過ぎちゃって苦しくなっただけよ」
私は普通にしていられなくて夫に背を向けた。
「そうか、そんなに感動したのか。なら俺も見たかったな」
夫は呑気にそう言って伸びをした。
私は頭を掻きながら、点かないタバコをテーブルに置くと、
「何だか疲れたから先に寝るね」
そう言って客間に入ろうとした。
「おい、そっちは寝室じゃないぞ?」
「今日は一人で寝たい気分なの」
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