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「なっ……またお前、借り家なんだぞ!?」
「わーざわざ、こぉーんなにカワイイ子が迎えに来てあげてるのに、寝てるアンタが悪いのよっ!」
「……はぁ。自分でよく言うよ……」
自称カワイイ子の、華奈と呼ばれた彼女。
肩甲骨辺りまで伸びた栗色の髪に、小顔でパーツの整った顔立ち、女性の理想的な体型をしている。俗に言う美人、だろう。性格にややクセがあるようだが。
自分をカワイイというのも、そこから来る自信からだろうか。
「今日は月曜、登校日よ?なのにアンタはいつもぐーすか寝て、しまいにはサボッたり……このニート!」
彼女にニートと言われてしまった、秋人と呼ばれた青年。
しっかりとした身体つきに、やや長めの黒髪。こちらも少し目が細いものの、整った顔立ち。
端から見れば、美男美女が揃っている状況である。
「寝てただけでニートと呼ばれちゃ理不尽だっつの。だいたい、年頃の女の子が男の部屋に平然に上がってくるのもどうかと思うけどな。」
その言葉に「だって……」、と言葉を濁らせた華奈を見た秋人は小さく溜息をついた後、
「あーはいはい、今から準備するから。玄関で待ってろ。」
と、促し華奈を玄関へと向かわせた。そして、秋人は着ていたジャージを脱ぎ、制服に着替え始めた。
「……、華奈。玄関で待ってと言ったんだけど?」
「……アンタがまた寝たりしないように見張ってるのよ!」
誇った表情でそう言い放ってきた。
「どや顔で言うな、どや顔で。とりあえず出てけ変態」
秋人は再び華奈を玄関に押しやり、着替え始めた。
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