7人が本棚に入れています
本棚に追加
着替え終わり、秋人は泥棒に入られない事を密かに願いながらドアをそっと閉めた。
天気は良好。梅雨の時期には珍しい晴天になっている。
「ほら、モタモタしてると遅刻だよっ!?」
華奈が「遅刻、遅刻」、と言いながら右手を掴んで引っ張って来た。
あまりにも強引に引っ張られたものだから、バランスを崩し転んでしまいそうになる。
「ちょっ、分かったから、行くから離せ!コケる!」
声に切実なものを混ぜ、華奈に頼む。
「えー?本当は『朝から手繋げて幸せだー』とか、『カップル気分だー』とか思ってるんでしょ?」
「……ああ、確かにそうかもな。」
体勢を直した後、秋人は試しにノってみる。すると、華奈の顔は予想していない反応だったからか紅潮し始めていた。
「へぇ……」
その光景に思わず秋人はニヤけていたら、それに気づいた華奈がより顔を真っ赤にし秋人を睨みつける。
「……秋人ッ!」
そして、握られた手に女性のものとは思えない圧力が加えられた。
華奈は、「カワイイ子は何かと危険が多いのよ、」とか言い出し、空手等の武道の大方を会得していた。握力もその努力の賜物ということらしい。
「痛ぁぁぁぁ!?」
その後、数分程痛みを味わった後に解放された秋人だった。
最初のコメントを投稿しよう!