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「コイツばかだねー。こんな所に自分から来て逃げれるわけないじゃん。
まぁ、死んじゃったから何言っても無駄かぁー」
【掃除屋】の一人が吐き捨てるように言った。
暗闇で全体像はよく分からないが背は低く、声もまだ幼さが残っていた。
「仕方ないだろ。人っつーのは、どんなに冷静なヤツでも目の前で普通じゃ有り得ない事が連続で起こればそれなりにパニクるっつーの」
先程の少女の言葉に、隣にいた男が答える。
声は何処か気の抜けた声だが、背丈は高く、体つきもしっかりしていた。
「……にしても、クールだよねぇ。彼は」
そう言ったのは、最後の一人。
シルエットのような全体像からでも分かる、サラサラとなびく髪。しかし、聞こえた声は、女性の声ではなく男性の声だった。
「何うっとりしてんだよ気持ち悪りぃな」
青年が長髪の男に言い返す。
「同じ業者の中でも、高い成功率を持ち、かつ全てにおいて迅速に処理する。実にクール……彼のこのクールさに魅了されてしまいそうだよ……!
まぁ、魅力は僕の美貌の次くらいだけどね!はははっ」
「気持ち悪りぃ」
「キモいんだけど」
しばらく言い合いが続いた後、彼らは【掃除】に取り掛かった。
わずか数分。その間に若者の死体、血の痕跡は一つも残っていなかった。
そして、町は何事もなかったかのように、朝日に照らされ目を覚ます―――
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