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「確かこの辺に家が…お、あったあった!」
辿りついた先には、独居老人には少し大きいのではないかと思われる家が建っていました。
「っしゃ、中に押し入って…」
その時、またもや肉体狼さんの耳に何かが聞こえてきました。
「なんだ、裏か?」
様子を探るように裏庭をのぞきに行きます。
そこにはスーツを着た一人の老紳士が立っていました。その足には大げさな包帯が巻いてあります。
(怪我…してるんだよな?一体何して…)
その時、風の悪戯か、ひらりと1枚の木の葉が空に舞いました。
『はっ!!』
ガウン!!!!!!
風に揺られた葉は、中央に穴を開けたまま地面に落ちました。
「ふむ、このコールマグナムもまだまだ現役じゃのう」
(アンタもだ―――…!!!!!!)
肉体狼さんはこの瞬間「恐怖」というものを再認識しました。
よく見ると老紳士…じいやの足元には様々な武器が商品のように並べられています。
「む?いかんいかん!そろそろ青頭巾が来る時間じゃ!…やはりセクシーは来てくれんじゃろうなあ…」
口にしていることは寂しさいっぱいの老人のセリフですが、じいやはそう言いながらも大量の武器を一度に持ち上げ、てきぱきと倉庫に戻しに行きます。
足に巻いた包帯なんて、まるで気にしていません。
明らかに怪我はしていないようです。
じいやは片付けが終わると、裏口から家の中に入って行きました。
(俺にこのジイさんが食えるんだろうか)
一人取り残された肉体狼さんはそう自問自答しましたが、確実に答えは「NO」でした。
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