出会いは突然に───

4/32
前へ
/57ページ
次へ
「じゃぁ出欠も取り終わったことですし、HRを始めまーす」 号令がかかり、HRが始まる。 「まず最初に、今日はみなさんに嬉しいお知らせがあります」 『先生結婚するんですか!?』 わあお。全員同じこと同時に訊いたよ。クラスの団結力ってすげー。 「違います。今日はこのクラスに転校生が入ってくるんです」 しかし香穂先生は動じることなく冷静に話を続けた。 そんな言葉の中の転校生という単語に反応したのか、クラスがざわざわと騒ぎ始める。 「───では早速入ってきてもらいましょうか」 『ちょっと待って先生! 心の準備が!』 「仕方ないですね。三秒だけですよ?」 よっしゃぁぁあっ────って短いっ! 「では入ってきてくださーい」 俺たちクラスの要求なんか無視して先生は扉の向こう側に声をかけた。 しばらく間が空いてからその扉はゆっくりと開く。 そして… 『………………………』 全員が静まり返った。さっきの喧騒が嘘のようだ。 そんな静まり返る教室の中に、先生が黒板にチョークで字を書く音が響いてくる。 「転校生の橘飛鳥さんです。みなさん仲良くしてあげてくださいね」 先生の隣に立つその少女は、全員の注目を引き付けていた。 透き通るような白い肌、無駄のないスタイルにアイドルのように整った顔立ち。 そしてその完璧な容姿に加え、目を惹くのはポニーテールに束ねた雪のように白く綺麗なプラチナブロンドの長い髪と、強気なつり上がった真紅の瞳だ。 そんな異質で可憐な少女に、俺たちはいつの間にか見とれていた。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

580人が本棚に入れています
本棚に追加